区切り第5回6日目 平成16年8月23日(月) 天気晴れ時々、夕方から雷雨

 

初めての現金御接待

午前3:30起床。ボイラ室に行くと見事に乾いている。取り込んで部屋に戻り荷物の整理をして4:00出発。ここから第52番太山寺までは10km強、いつものペースだと2時間で着いてしまうが足の化膿がまだ少しあるので2時間半で太山寺に着き読経してから納経所で納経受付開始時間である7時丁度に納経する計算だ。宿を出て道後温泉を通過すると早速道に迷う。街中だとへんろ道の道しるべが無いことが多く、あっても電柱にシールが貼ってある程度で見つけにくい。適当に歩くと、歓楽街に出てしまった。まだ営業している店もあるが、さすがに遍路の格好をしているのでは呼び込みに捕まらない。

久万高原で泊まった狩場苑のトイレで遍路に関する愛媛新聞の切り抜きが貼ってあり、それによると昔、四国の集落の一部では娘遍路と男遍路の風習があったらしく、成人前の男子が遍路をして遍路をしている間に母親が成人祝いの晴れ着を縫って結願後、帰宅するとできたばかりの晴れ着を着てお祝いするというのだ。なかでも面白かった記事は、男遍路中、各札所の他に遊郭にも寄っていったらしい。十善戒の「不邪淫」に抵触する訳だがひょっとしたら「お接待」なのか?。

県道187号線に出てコンビニの前で朝食。やはりペースは遅くなっている。途中松山大学の裏に曲がり、川沿いに歩く。大通りに合流するとき、へんろ道の道しるべが左折になっていたので従う、実は52番に行くのには甲乙丙の3通のルートがあり、僕が左折したルートは「丙」で他のルートと比べると1km余計に歩く。

 途中で選択したルートが遠回りだという事に気がついたが引き返すと余計に掛かってしまうので諦めて歩く。県道184号線との交差点を越えると閑静な住宅街が、途中民家の塀に「ちかんに注意、特にミニスカートをはいている女性の方」という随分詳細に書かれている標識、浄土宗のお寺、真ん中に小さな島があり殆ど池ポチャのゴルフ練習場、少年院の前を通り児童公園を斜めに横断。この辺では犬を連れて散歩する人と良く会う。向こうからお婆さんが歩いていくので挨拶すると「お遍路さん、ちょっとまってて」と、呼び止められ、ちり紙に包まれた千円札をお接待頂く。

「私もお寺まわりをしたいけど脳梗塞になってしまって行けなくなってしまった、だからこうしてお遍路さんに会うとお接待するようにしている。」

脳梗塞で倒れたとはいえ朝自力で散歩できるので元気なほうだ。お婆さんの話を聞いて「大丈夫ですよ、まだ十分歩けるのだから車などでお遍路できますよ」

と励まして別れる。頂いたお金を確認したら千円札が2枚。責任重大である。

ふと地名標をみると「ひばりヶ丘」と書いてある。どこかで覚えのある地名だ・・・。

あ、そうか!とへんろ道保存協力会の地図を取り出し最後のページを見る。著者でありへんろ道保存協力会の代表である宮崎建樹氏の住所だ。せっかくなので家の前を寄っていこうと思い散歩している人に尋ねてみる。

「すみません、ひばりヶ丘5丁目はどこですか」

「5丁目ねえ〜向こうのほうだけど、5丁目のどこだろう?」

「実はここなのですが(と、地図を見せる)」

「あ〜宮崎さんね、お遍路で有名な方だね。え〜とこの先を右に曲がって、するとYの字になっていてそこを・・・・あ、じゃあ入り口まで案内するよ」

と、散歩している人に同行してもらいY字路まで、「ほら、あそこが宮崎さんの家だよ」

と案内して頂いた。まだ早朝なので感謝の言葉をお札の裏に書いてポストに入れる。JRみつはま駅の先の踏切を渡るとしばらくして今治発の始発列車にすれ違う。県道19号線に出るとファミリーマートの開店準備の前を通る。四国でファミマを見たのは初めてかもしれない。だいたいローソン>サンクス>サークルKの順だ。関東で多数を占めるセブンイレブンは四国では見たことがない。

ほとんど池ポチャのゴルフ練習場(51番から約6km:丙コース経由)

予讃線始発列車に遭遇。まさか別の区間でコレに乗るとは思ってもいなかった。(51番から約8km:丙コース経由)

52番太山寺山門前にて、「ねむいにゃ〜」

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